オリジナル AI アートに関するブログです.AIアートをつくるときは通常,英語でこまかい記述をプロンプト (呪文) としてあたえますが,そうせずに,みじかい造語や絵文字だけをつかって,AI に自由にアートをつくらせています.
Stable Diffusion 2.1 でひとつのことばを正負のプロンプトとして同時に指定することで変化に富んだ多様な画像がえられる場合があります. カンディンスキーについてそれをためしてみると,想像していた以上の成果がえられました.
カンディンスキーは具象的な絵画も多数描いているのですが,Stable Diffusion 1.5 や 2.1 などのAI アート・プログラムに “Kandinsky” またはそれにちかいつづりをあたえても,おなじようなスタイルの抽象画がいろいろえられて, 変化にとぼしいようにおもえます.
猫や虫などをテーマとしてあたえても,やはりおなじような抽象的な絵を描きます.
カンディンスキーの絵の多様性をしめすために,いくつか実際に彼が残した絵をとりあげます. ネット上では抽象画が圧倒的に多いため,AI は上記のような絵ばかり描くのだとおもいますが, それにしてもカンディンスキー自身が書いた絵のほうがもっと多様でした. ここには 2 枚だけ例をあげます.
また,カンディンスキーの画集にはもっとおおくの具象的な絵がとりあげられていますが,ネット上でも いくつか風景画をみつけることができます.
AI にももっと多様な絵を描かせることができるはずです. そこで負のプロンプトとしても “Kandinsky” をあたえるという方法をためしてみると,想像していた以上の効果がありました. ここにはほんの一例をあげます.
否定しているので本来のカンディンスキーの絵とはちがう傾向があるようにおもいますが, 負のプロンプトをあたえないときの支配的な傾向が否定された結果,多様性が増していて,私には魅力的にうつります. 大半は抽象度がたかい絵ですが,なかには具象的なものもあります.
さらに,負のプロンプトとして表現主義 (expressionism),印象主義 (impressionism),抽象 (abstraction) などのことばをあたえてみると,それぞれおもむきのある魅力的な絵がえられました. それらのなかで私が一番よかったとおもうのは表現主義ですが,それによってえられた画像の一例をしめします.
ここにあげた絵は全体的には負のプロンプトをあたえないときの絵にちかいものの,色やテクスチャが多様化し, 立体感もあって,はるかにおもしろくなっているとおもいます. 表現主義を否定することがなぜこのような結果をうむのか,よくわかりません. 表現主義を否定してみたのは,カンディンスキーは表現主義の画家だといわれているからです. しかし,その結果えられた画像はより表現主義的になっているように私にはみえます. ここにあげたような絵は私にはカンディンスキーが描いた絵よりも魅力的です.
また,抽象を否定してえられた画像にはつぎのようなものがあります. 抽象を否定したので具象的な部分はありますが,大半は基本的に抽象画です.
ここにあげたのはほんの一例であり,ほかにもいろいろとおもしろい絵があります.
さらに,印象主義を否定してえられた画像にはつぎのようなものがあります.
カンディンスキーの絵は印象主義からははなれているとおもうので,なぜ印象主義を否定することが効果をあげるのかわかりません. ただ,表現主義 (expressionism) も印象主義 (impressionism) も “ssionism” をふくんでいますが,“ssionism” をふくむつづりを正のプロンプトとしてつかうと効果的であることから, 負のプロンプトとしてもそれが作用しているのではないかとかんがえられます.
なお,カンディンスキー以外の画家名を否定してみた結果については 「正負のプロンプトに画家名を指定することで多様化する画像」 という記事に書いています.