デイシンで製作した LED 照明器具の売れゆきはあまりよくないのですが,そのおおきな原因はその魅力がつたわっていないことにあると感じています. 写真をとっても目でみるのとまったくちがうものしか,うつりません. ビデオの場合は目でみるのとはちがう,ちらつきなどがうつってしまいます. その差をちぢめる方法はある程度はわかってきましたが,プロにたのまないと十分にはちぢめられないようです.
写真が目でみたのとちがってくるおもな原因は,写真では光が飽和してしまうことにあるとかんがえられます. 白色や電球色の LED については,光がつよい部分とよわい部分との差がちぢまるために,みえかたがかわってしまいます. 光がつよい部分のキラキラ感はなくなり,よわい部分もつよく光っているようにみえます. それによって,3D 印刷によってつくったシェードの魅力がよわめられてしまいます. この問題はおもにシャッター速度を調整することで軽減されますが,シャッター速度が自動できまるカメラではいろいろな問題がおこってきます.
第 1 に,背景が暗いと明るい部分があっても自動調整カメラではシャッター速度が低下します. それをさけるには,LED 電球の周辺を明るくする必要があります. そのためには LED 電球じたいより明るい照明が必要なようです. シャッター速度が固定できるカメラをつかえばこんなことをしなくてもよいとおもうのですが,いま手元にはありません. しかし,手持ちのカメラで写真をとるときには,シャッター速度がうまく調整できないことが問題になってきます.
第 2 に,交流 100 Vの LED 電球の場合は明るさが 100 Hz くらいの周期で変化しているため,写真 1 枚ごとに明るさがちがってきます. この問題は直流点灯の器具ではおこりませんが,安価な LED 電球は交流点灯または不完全な直流点灯であるためにおこってきます. 自動調整のカメラではシャッター速度が不安定になるので,明るさも安定しません. この場合,目でみたのより暗くうつることが多くなります. 明るすぎる場合もありますが,そういう写真を調整するよりは,やや暗い写真を調整するほうがうまく調整できます. ここでもシャッター速度が固定できるカメラがのぞまれます.
第 3 に,透明地球儀などにおいては青色 LED を使用していますが,この場合は光が飽和することによって色もちがってきてしまいます. 青い光なのに,写真には白くうつってしまいます. これは,青色光のためのセンサが飽和する一方で,赤色光や緑色光のためのセンサも青い光につよく反応するためだとかんがえられます. この場合もシャッター速度の調整などによって色の変化をおさえることができるとかんがえられます.
ビデオの場合も,このあかるさの周期的変化が問題になってきます.ビデオのコマ数が 1 秒に 25 枚であれば,100 Hz で変化する LED 電球とうまく同期させることができるとかんがえられます. しかし,通常はコマ数が固定されているため,ずれが生じて,ちらついてしまいます. これは魅力をおおきくそこなうことになります.